抹茶チョコレート理論と文化距離〜インバウンド戦略考2

文化距離と抹茶チョコレート理論

markです。宇治抹茶大好きです。ASEANで卸をしています。 今回はインバウンドのみならずアウトバウンドにも適用できるお話です。 商品開発や、輸出プロダクト決め、インバウンドコンテンツ決めの際に この考え方を使っています。

抹茶チョコレート理論とは

世界中の人にとって理解できるチョコレート。 これに日本から来た抹茶という新しいものと混ぜて抹茶チョコレート。 ここまでは、付き合おうという気になってくれるようで、 催事でも抹茶チョコレート的なものまでは許容範囲として売れます。

抹茶、羊羹、と共に親しみの浅い抹茶羊羹という組み合わせの場合 外国の方は対応するのに、説明出来ない感覚的なハードルがあるようです。

海外に展開するプロダクトは、抹茶羊羹のような2文化距離※のものではなく 抹茶チョコレートのような1文化距離※のものが売れやすい というのがこの理論の骨子です。

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「抹茶チョコレート」の考え方は海外のみならず 世代間ギャップにも適用できます。

具体的には、伝統工芸が、若い人に対して距離があるのに対し 若者に親しみのある、キャラクターやiPhoneケースを掛け合わせる事で 若者に伝統工芸を体験してもらう機会作りを老舗さんとさせて頂きました。

ターゲット層に対して、2文化距離※のものを押し付けるのでなく、 まず1文化距離※のものから徐々に理解して 本質に近づいてもらおうという作戦です。

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文化距離とは ※

★STARMARK®は海外での催事、特にシンガポールでの物産展に力を入れています。 打ち合わせの際に、日本から来て頂いた皆さんにウケる商品を良く聞かれるのですが、 その際に作り出したのがこの単位です。 文化的に感じる距離感が、その人の商品への許容度を決めます。

例えば

チョコレートは、シンガポール人からは文化距離ゼロ 彼らが理解しやすいので売れますが、原料があればどの国でも作れますから、 グローバルマーケットでの競合は当然多いです。 北海道のROYCEさんは「生チョコレート」で独自のポジションを掴まれていますね。

抹茶×チョコレートは、文化距離1

シンガポール人からすると知っているチョコレートに 知らない抹茶を混ぜたものなので抹茶の分で距離1です グリコの抹茶ポッキーや、アルフォートの抹茶味は、 北米でもアジアでも売り場に良く置かれています。 抹茶チョコレートは、抹茶がどの国でも身近になりつつあり、 もはや文化距離どの国でも0.8くらいの文化距離ですね ここまではある程度受け入れてもらえます。

抹茶×羊羹は、文化距離2

近しい素材で作っているお菓子も海外にもあるのですが、 密度や味、見た目が違うのと、何せ出来上がりが知らないものの組み合わせなので、 わざわざ食べる理由がありません 日本人が食べたら美味しい!と思うのに現地人に、 継続的に購買されていくのに幾つかハードルがあります。

逆に私は、ハマスと呼ばれる文化距離遠めな中東の料理が好きなのですが、 日本人でこれを好んで食べる人が、私以外に居たとしても、 マーケットとしてボリュームが出るとは思えません。

同様に普段は中華系スイーツやチョコレートなど 分かりやすいスイーツを食べているシンガポール現地人が、 わざわざ高いお金を出して、大量に買ってくれるか、というと期待しづらいわけで、 このケースでいくと抹茶が文化距離ゼロになるまでは、 まだマーケットとしては抹茶羊羹を大量に売っていくのは難しいかも知れません。 こちらサイドとしては美味しいのがわかってるから食べて欲しいのですが、結果が出にくい事があります。試食をして頂いて、美味しいよ、とは言ってくれるのに、 なかなか買ってくれない事もあります。

海外マーケットで日本人消費を見込んでいるメーカーさんもいらっしゃいますが、 10万人日本人が居るニューヨークやロサンゼルス、日系人が多いブラジルやハワイほか 例外的な可能性があるエリアはあるものの 基本的には、現地人に受け入れて頂かないとマーケットサイズは作り出せません。

「彼を知り己を知れば百戦危うからず」と孫子の兵法にありますが まずは現地の方を知り理解して、自分達の持っているものを理解して そこから何をすべきか整理し出て行くというのが、 海外進出において「危うからず」なのかも知れません。

日本のよいものを世界へ 世界のよいものを日本へ

伝統のよいものを現代へ 現代のよいものを伝統へ

★STARMARK®は日本文化の商社です

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